活字の誘惑　＞　食べ物をもてあそんではなりません

食べ物をもてあそんではなりません

昨年初め、キューバのフィデル・カストロ議長（当時）が、米国のブッシュ大統領の打ち出したバイオ燃料（農産物から作る燃料）倍増計画を批判・糾弾しました。

食糧を燃料（石油の代用）に作り変える。なんという愚かな発想なのでしょう。日本人として言うなら、「罰当たり」ではないでしょうか。

フィデル（キューバの人々は親しみを込めてこう呼びます）は、トウモロコシなどの農産物をバイオ燃料に変えることの害悪を、様々なデータを示して訴えました。

例えて言うなら、「お米をガソリンの代用にする」わけです。
車１台を満タン（５０リットル）にするのに、トウモロコシ１１０キロが必要で、これはトウモロコシを主食にしている国々の１人当たりの年間消費量ですから、日本のお米で考えてみると、１回分のガソリンのために１年分のお米が使われる、ということになります。

その上、農産物を燃料に転換させるために燃料と水を、信じられないほど多く消費します。
バイオ燃料を１０リットル製造するのに必要な石油は６〜７リットル。
車１台満タンにする燃料をつくるために必要な水は、２１万リットルで、これは日本人の年間水道使用量の１、６倍です。

そしてフィデルの指摘は、バイオ燃料になるサトウキビ農園の労働者（ブラジル）の奴隷的労働実態の告発でした。それは革命前のキューバの農民だ、と表現されたほどです。
（１日６ドル稼ぐために１秒に１回ナタをふるわなければならないほどの過酷な労働と言われています）

さらに、温暖化の危険が迫っているというのに、中南米、東南アジア、中央アフリカなどの熱帯雨林や牧草地が、バイオ燃料の農作物のために破壊され続けています。

この罪悪ともいえることをやっているのは、米国と日本の大企業です。
よく知られているのは、三井物産、伊藤忠、丸紅、豊田通商、コスモ石油、、。

穀物自給率が１７５ヶ国中１２４番目、カロリー自給率３９％という日本が、発展途上国の食糧を奪い、農産物を企業利益のために燃料化する、こんなことが許されるのでしょうか。

これに追い討ちをかけるかのように、今、農産物が投機の対象となってボロ儲けする人たちが現れています。そのかげでは、世界の飢餓人口が、８億５６４０万人、１０歳以下の子どもたちが、５秒に１人ずつ、死んでいるのです。

「食糧を金儲けの道具にしてはならない」
と、私は声を大にして言います。

農業・医療・教育を金儲けの対象にしてはいけません。
より良い社会を築こうと思うなら、生命の源である農業、命を守る医療、より良い人間に育ちあう教育が、どれほど高貴な営みであるか、認識できるでしょう。

人間同士、お互いが敬意を持てるような、愛を感じられるような、そんな社会を、日本を、世界を創り出して行くことは、充分可能なことだと信じています。

　　　　　　　　　　キューバ、ハバナより
　　　　（日本山妙法寺出版月刊誌「天鼓」２００８年１０月号掲載）


☆日本山妙法寺は、藤井日達聖人に創立された日蓮系の宗教団体です。
黄色いインド風の僧衣姿でうちわ太鼓をたたきながら平和行脚を行っています。

「原水爆禁止」「外国基地反対」などを訴え、“世界宗教者平和会議”や“世界平和会議”の開催に尽力、“宗教者九条の和”で憲法９条を守る運動を推進、非暴力世界平和を目指し行動しています。

☆「天鼓」の表紙扉には次の言葉があります。

“南無妙法蓮華経
人類の生きていく道は
平和に暮らすこと
争いをしないこと
これだけを
仏教の教えによって習い極めて
現在の憲法を
宗教的な信念によって
持(たも)たねばなりません
南無妙法蓮華経と唱えて
この憲法を守ります”　　　　

日本山妙法寺山主　藤井日達


日本国憲法　　戦争の放棄　　　第九条
［戦争放棄、軍備不保持、交戦権否認］

�@ 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

�A 前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。


“宗教者九条の和”に加わって
諸宗教者の平和憲法を守る賛同の和をひろげよう


※ 私が日本山妙法寺と出会ったのは１９６０年代、アメリカ(合衆国）のベトナム侵略戦争に反対する行動の中ででした。
日本は、アメリカの起こす戦争に加担することで経済成長してきました。
そこには、朝鮮戦争があり、ベトナム戦争があり、湾岸戦争があり、今、アフガニスタンとイラクへの侵略戦争があります。
当時、学生だった私は、日本のベトナム戦争加担に反対する集会やデモに参加していました。そこで見かけたのが、黄色い袈裟とうちわ太鼓の日本山妙法寺の僧侶の方々の姿でした。
平和の行動にはいつも、日本山妙法寺の袈裟姿とうちわ太鼓があります。



今日もご縁を頂いてありがとうございました。
!VAYA　CON　DIOS!
あなたに幸あれ♪

活字の誘惑　記事

◆岡惚れ、ベタ惚れ、ビバ！クーバ（万歳！キューバ）！
◆愉しく生きられる祖国になろうヨ！
◆人間は金よりも尊い
◆"愛"を持って闘ったキューバ
◆食べ物をもてあそんではなりません