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“愛”を持って闘ったキューバ
〜“革命の成果”と評価


WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、ドラマのような感動を与えてくれました。試合後、日本ファンのキューバ人が、益々日本への敬意を深めています。

第1回WBCは、当初キューバが参加を拒否されるというUSA(アメリカ合衆国)の「対キューバ封じ込め政策」が露骨に出ましたが、キューバの主張とプエルト・リコやベネスエラの「キューバを参加させないなら自国も参加しない」という抗議の下、「キューバが賞金を獲得した場合はカトリーナ被災者へ全額寄付する」という条件付きで参加が認められた、という異常なスタートを切りました。

参加国で唯一、アマチュア選手チームのキューバは、キューバ自身も含め早々の負けが予想されていたのですが、意外な展開で今大会の面白さを倍増させました。

1回戦で負けたプエルト・リコとの再試合に勝った真夜中、歓声とともに口笛が響き渡り、ガンガン何かを叩きながら、
「ビバ!クーバ!(万歳キューバ)」の声が沸きあがり、人々が外へ出てきて音楽が鳴り出しました。
ドミニカとの再試合に臨む頃には、病院が混み合い、
「これはゲームですから本気にならないように、気の弱い方は見ない方がいい」という医師のコメントを新聞に載せたほどでした。

決勝戦では、日常的にも野球談義に人々が集まるハバナ中央公園に、大型ビジョンと椅子が用意され、千人を超えただろうハバナっ子たちがサルサのリズムに乗って観戦しました。

何故キューバの野球が強いのか、というマスコミのインタビューに、ある選手はこう答えました。
「我々は愛を持って闘った、それは家族への、キューバ国民への、そして祖国キューバへの愛です」
選手たちに高額なオッファーが外国から呈されましたが、その「高額な契約金」に応ずることなく「家族とキューバ国民、祖国のために」闘い、帰郷した選手たちです。

選手団の帰国時には空港に、アラルコン国家評議会議長、スポーツ大臣、オリンピック会会長という最高幹部が、選手たちの家族とともに出迎え、選手ひとり一人と握手を交わし抱擁しました。

空港からハバナ市街への選手たちを乗せたオープンカー・パレードには、沿道、街を、熱狂的な市民が埋め尽くしました。
ハバナのスポーツ・ドームでは、キューバ民族ダンスの群舞、群体操演技、10行詩即興歌などの歓迎があり、フィデル・カストロ・ルス議長は、ひとり一人の選手と握手、話をして労をねぎらい、
「WBC賞金をカトリーナ被災者へ渡す」ことを再確認し、
「我々のスポーツ選手は、品位ある生活を送るために不足しているものは無い。なお、それと同額を国内の野球と他のスポーツの発展のために投資しよう。それは浪費ではない、人間のために使う金は浪費ではない」と話し、
「対立チームを批判することはない、それらの国は条件が違う。

キューバ革命は、スポーツを娯楽と生活スタイルを改善するものにしたのでプロスポーツを促進していないが、プロスポーツのある国には選択肢がない」
今回「キューバには最高のピッチャーがいて、ホームランもたくさん出すが、特殊なルールの下でそれを発揮できなかった。それでも尚、4億7千万ドル超を契約しているプロと対戦し、巨大な業績を残した。これは誇りの偉業である」と称え、社会主義システムの成果を評価しました。

キューバの新聞レベルデ紙は、
「選手たちの偉業は金が目的ではなかった。しかしプロ野球やそのリーグを批判するつもりはない、WBCを思想的場面にしたくない、そんなことをすれば人間的接近への貢献を失う」と評論しています。

選手たちの帰郷にも、それぞれの地域での熱い歓迎が行われ、彼らは労働者や学生に戻っていきました。

さて、WBCのために中断していた“国内シリーズ”が28日から再開します。キューバ15州、16チームが熱戦を繰り広げます。この各州から最優秀選手が、今回のWBCに選出されたのです。

また第20回中米・カリブ諸国ゲームもこの夏、コロンビアで開催されます。
キューバの野球、いっそう熱く燃えることでしょう。

(2006年3月「赤旗新聞」国際欄“ワールドリポート”掲載)

 
★キューバが「革命の成果」と評価していることの説明:
キューバでは小学校のときから、ひとり一人の個性や特性・能力を見つけ、開花させる教育が重視されています。
少人数学級で、教師はひとり一人の生徒に目を向け、特徴の見られる子どもには、各種専門学校を紹介します。スポーツ分野だけではありません。

医学・工学・音楽・美術・舞踏など、様々な分野への専門教育の道が開かれています。専門学校は各県にあり、どんな地方に住んでいても、すべての子どもにその教育権は保障され、教育費だけでなく、宿舎・食事・ユニフォームなどもすべて無料です。

また、野球だけでなく、ボクシングも強いキューバですが、現在スポーツを学ぶ学生は15000人、18課程、29のスポーツを学んでいます。さらに大学として、総合スポーツ特別学校があります。
このようなシステムが取り入れられ保障されているのは、「キューバ社会主義革命」の前進であり成果である、ということです。

現在はベネスエラへ、医師だけでなく、スポーツ・インストラクターや音楽指導者も送っています。医師は、パキスタンなど世界の災害被災地(カトリーナ被災地へも申し出た)へも送り出されています。
こういう国際連帯も、社会主義の人道精神と考え実行されています。



今日もご縁を頂いてありがとうございました。
!VAYA CON DIOS!
あなたに幸あれ♪



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岡惚れ、ベタ惚れ、ビバ!クーバ(万歳!キューバ)!
愉しく生きられる祖国になろうヨ!
人間は金よりも尊い
"愛"を持って闘ったキューバ
食べ物をもてあそんではなりません