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◆プロローグ

ひとりで遊んでいた子どもの頃のことを、鮮明に覚えている。
きょうだいがなく、日中は親もいない、私ひとりの時が多かった。
遊ぶ物は、何も無かった。自分だけ。

蟻を追いかけて遊んだ。
地面を見ていると、蟻がとても忙しなく歩き回っていた。
一方方向へ歩いていく沢山の蟻と、それとすれ違って違う方向へ、やはり急ぎ足で歩いていく沢山の蟻。

蟻の行方を追って、庭の形状が変わるほど土を深く掘ってしまったことがあった。
そこは巨大な蟻の住まいだった。
怖くなるほど沢山の蟻が蠢いていた。
 
それは、初めて見る蟻の、生き物の、生態だった。
その大きな洞穴は、子供心に、見知らぬ世界への好奇心を掻き立てた。
飽くことなく、いつまでも眺めていた自分を、今もその空気と共に覚えている。

もしかすると、あれが、わたしの独り旅の始まりだったのかもしれない。

 
今日もご縁を頂いてありがとうございました。
!VAYA CON DIOS!
あなたに幸あれ♪



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